のこと、

燃えるごみ

可笑しくもないのに笑い、眠たくもないのに眠り、日々を日々として過ごしている。

かつての私が執拗に追い回していた寂しさや孤独というものは、いつしか問われて思い出す位のものになっていた。
それは言うなれば冷蔵庫に入れておいた食べ残しみたいなものなのだが、その食べ残しがなかなかに腐らない。かと言って食べられる訳でもない。「あのとき食べておけばよかった。」などと言い、毎日毎日の食事をする間にも燃えるごみの日は過ぎ、いつしか食べ残しは冷蔵庫の奥でカピカピに乾燥していく。
ミイラよろしく千年くらい放っておいてくれればよいものなのだが、盗賊や研究者がピラミッドに用がある様に、私もまた冷蔵庫に用があるし。冷蔵庫は墓場でもなければ食べ残しはかつての王族でもない。

駆除する害獣がいなくなった世界で農夫はただ作物を育て、いがみ合う隣人の引っ越した市民はただ日々を過ごす。そして残り物を冷蔵庫に追いやった私は買ってきた食パンをただ食べる。無いものを感じる事は出来ないのだ。

明日は燃えるごみの日なのだが、おかしな事に眠たくて仕方がない。