のこと、

カレーライス

大きなビルの端に、蔦の絡まる小さな家があった。

かつてカレー屋であったその小さな家の入口には衝立がたてられ、手入れされる事のない木は路上に出ない様に縄で敷地内に引き戻されている。

その大きなビルも小さな家も壊され、さらに大きなビルができる。

さらに大きなビルを建てる者は、大きなビルを壊す為に買い、その小さな家を壊す為に買おうとした。

小さな家の主は、きっと彼がカレー屋を営み始めたのであろうときの年齢と同じくらいの年齢の女と、その小さな家でカレー屋を始めるのだと言った。

彼は老人ホームで女とカレー屋を営む夢を見て、僕はカレー屋であった建物が壊されていくのを眺めている。